効率、効率で時間に追われる現代社会への警鐘や風刺と言われたりしますが、ここではそういう主旨ではなく、私たちコーチにとって大切な「聞き方」について、深い示唆を与えてくれる一冊として紹介します。
街のみんながモモを訪ね、話を聞いてもらうようになります。
しかし、モモは的確なアドバイスや心に染み入る話をするわけではありません。
ただ、相手の話を聞くだけだったのです。
「モモに話を聞いてもらっていると、ばかな人にもきゅうにまともな考えが
うかんできます。モモがそういう考えをひきだすようなことを言ったり
質問したりした、というわけではないのです。ただじっとすわって、注意
ぶかく聞いているだけです。(中略)
モモに話を聞いてもらっていると、どうしてよいかわからずに
思いまよっていた人は、きゅうにじぶんの意志がはっきりしてきます。
引っ込み思案の人には、きゅうに目のまえがひらけ、勇気が出てきます。
不幸な人、なやみのある人には、希望とあかるさがわいてきます。
(モモ P23~24)」
私たちは、人の話を聞いていると、共感(好き)か反感(嫌い)か、どちらかの感情が自然と湧いてきます。
しかし、その共感、反感の気持ちを沈めて、自分の内側をからっぽにし、目の前の相手が入れる居場所をつくることができたとき、相手はモモと出会った人のように、自然と意志がはっきりしたり、勇気が出たり、希望と明るさが湧いてくるのかもしれない。
そんなコーチの究極の姿を、モモのあり方に見ました。
『モモ-時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語』
ミヒャエル・エンデ (著)、 大島 かおり (翻訳)、岩波少年文庫


